ルミノックスで人気の「マスターカーボンシールオートマチックモデル」登場。

1992年、米海軍特殊部隊「ネイビーシールズ」との共同開発から始まったルミノックスは、あらゆる冒険や過酷な状況に対応する時計を発売してきました。今回「Luminox(ルミノックス)」は、Red Bull AMPOL RACINGとパートナーシップを結んだ公式チームウォッチを発売します。

今回発売される限定モデルは、Red Bull AMPOL RACINGとパートナーシップを結んだ公式チームウォッチです。オーストラリアで開催されているスーパーカーズ選手権にて快走する「Red Bull AMPOL RACING」チームをフィーチャーしています。

「マスターカーボンシールオートマチックモデル」は、夜間任務や過酷な状況で優れた性能を発揮するよう設計されており、レッドブル・アンポル・レーシングのファンのために特別に再デザインされました。その堅牢なデザインと精密なエンジニアリングにより、モータースポーツの高速世界を駆け抜けるチャンピオンたちにふさわしい一本です。

この時計の裏蓋には、文字盤と同様に、チームのロゴが刻印。また、文字盤のインデックスや針などには、自己発光システム「ルミノックス・ライト・テクノロジー(LLT)」が採用されており、最長25年間にわたり暗闇でも優れた視認性を確保します。

今回のモデルは、ルミノックスの強靭性、自己発光システムによる視認性、防水性に加え、曜日と日付のウィンドウを備えた自動巻きムーブメントを搭載。ムーブメント等をスケルトンのサファイアクリスタルの裏蓋を通して見ることができます。

CARBONOX™+はルミノックス独自の素材であり、軽量性、耐久性、低アレルギー性、耐候性、耐衝撃性、耐傷性を備え、見た目も美しく、用途の広い素材となっています。

粘り強さ、正確さ、そしてプレッシャー下での時間管理。それが、ルミノックスとRed Bull AMPOL RACINGチームを突き動かす原動力です。⁠ Red Bull AMPOL RACINGチームは、スピード、精度、そしてパワーを追求した、新しい「Luminox × AMPOL RACING」ウォッチを身に着け、しっかり準備した状態でレースに挑んでいます。⁠

一秒一秒を大切にし、私たちは彼らの一瞬一瞬を見守り続けます。

【概要】
Luminox 3863 AMPOL RB LIMITED
シリーズ名:RED BULL AMPOL RACING LIMITED
商品コード:08903139/JAN:4549384060768
価格:¥231,000(税込)  
発売中
 
ケース:CARBONOX™+
・ベゼル:逆回転防止機能
・風防:サファイアクリスタルガラス
・ケースサイズ:径 45mm/厚 14mm
・防水:200m、20atm
ムーブメント:Swiss Automatic SELLITA Caliber SW200-1 26jewels
・28,800VpH
・38-hour power reserve
・スイスメイド
自己発光システム
・ルミノックス・ライト・テクノロジー(LLT)

・ダイヤル 1-11時ブルー/12時イエロー
・時針:ブルー
・分針:イエロー
・秒針:ブルー
・ベゼル:イエロー

Luminox 3501 AMPOL RB LIMITED
商品コード:08903144/JAN:4549384060799
価格:¥98,340(税込)  
発売中

ケース:CARBONOX™
・ベゼル:逆回転防止機能
・風防:ミネラルクリスタルガラス
・ケースサイズ:径 45mm/厚 15mm
ムーブメント: Ronda 515
・防水:200m、20atm
・電池寿命:製造から約4年
ストラップ:天然ラバースイスメイド

Luminox 0321 AMPOL RB LIMITED
商品コード:08903138/JAN:4549384060782
価格:¥69,850(税込)  
発売中 

ケース:CARBONOX™
・ベゼル:逆回転防止機能
・風防:ミネラルクリスタルガラス
・ケースサイズ:径 44mm/厚 12mm
・防水:100m、10atm
ムーブメント:Ronda 515( スイスクォーツ)
・電池寿命:製造から約4年
・スイスメイド

【お問い合わせ】
Luminox Lounge(ルミノックスラウンジ) 
東京都港区南青山5丁目9番10号 1F 
TEL:03-6427-3212 

IWC インヂュニア・オートマティック 40 IWC チタニウムを実機レビュー。

多くのブランドがリリース数を減らし、代わりにひとつまたはふたつのSKUに集中することを選択したという点にある。ランゲの新作オデュッセウス・クロノグラフ、そしてIWCのインヂュニアの復活などは、極端なまでにその傾向を示す顕著な例だ。

 月曜日に、我々はジェラルド・ジェンタ(ロイヤル オークとアクアノートの父)が考案した特定のヴィンテージリファレンス(SL)から直接インスピレーションを得た新しいスティール製インヂュニアについての記事を書いた。

 理論的には復刻となるが、私が思うに、これらの時計が象徴するのは伝統を完璧に現代的なパッケージに統合する思慮深い方法なのだ。昨年のフェアで発表されたヴァシュロンのイエローゴールド製222は、教科書的な復刻版だった。しかし新しいインヂュニアは、ヘリテージを取り入れて復活させる試みだ。

steel iwc ingeneiur watch
新型のスティール製インヂュニア。

 スティールモデルは、ホワイト、ブラック、グリーンブルーのパターンダイヤルを採用しているのが特徴だ。これらの時計を手に取ってみると、アクアノートの面影があり、ブレスレット一体型スポーツウォッチを再解釈するという現代のトレンドに確かに合致している。しかしインヂュニアが何年もIWCのカタログから消えていたわけではない。実際のところは今日まで放置されていたようなものだが、以前は非常に大きな価値を持ち、IWCのなかでも最も安価なモデルのひとつであった。でも、それはもう過去のことである。

 今回、IWCはW&Wのエネルギーをすべてインヂュニアに注ぎ込み、新たな位置づけで発表した。スティール製で1万1000ドルを超える価格(日本の税込定価は156万7500円)だ。さらにIWCはスティール製インヂュニアのトリオを発表しただけでなく、チタン製モデルも1本同時に発表した。

iwc Ingenieur on wrist
チタン製インヂュニア。

それは秘密裏に行われたリリースであり、ショーで IWCに合うまで、その存在すら知らなかった。この時計はグレーの文字盤、ダークグレーの色調を持つチタンケースとHリンクブレスレットなど、擬似オールグレーの美しさを備えており、ほかのスティール製モデルとは一線を画した特徴を持っている。

しかし、ただのチタン製ケースとブレスレットというわけではない。サンドブラスト加工が施されており、美しいテクスチャーを実現しているのだ。少なくとも私のなかでは、このモデルはスティール製ではないため、一体型スティール製スポーツウォッチという括りからは逸脱している。実際、チタンはスティールより45%も軽いのだ。チタン、特に金属の処理によって、この時計は1970年代のジャンボ SLの時代とはかけ離れた独特の外観を持つようになった。しかしインヂュニアは、現代の文脈にしっかりと適合しているのである。リューズガードやベゼルのネジなど、スティールモデルに見られる新しいデザインコードもすべて含まれており、SLのためにジェンタがデザインしたものを思い起こさせる。

40mmというサイズは決して小さなものではないが、最近のテイストを考えれば納得のいくサイズである。10.7mmと薄型で、ケースバックはクローズドバック仕様(120時間のパワーリザーブを持つCal.32111を搭載)、100mの防水性を備えている。

もちろんプレミアムな価格でなければチタンモデルは手に入らない。価格は195万8000円(税込)で、インヂュニアはショパールのアルパイン イーグルのようなスポーツウォッチとはまったく異なるカテゴリーに位置づけられている。

その分、価格にパンチが効きすぎているだろうか? その答えは購入者個人の心のなかにある。私が思うに、これはブランドによるモデルレンジを再配置するための戦略的な動きであり、価格がどうであれ、このチタン製のバリエーションは傑出したものだと思うのだ。

70年代のジェンタを中心としたインヂュニア(とそれに付随するデザインコード)のヘリテージと、文字盤のクラシックなインヂュニアロゴのあいだで、この時計は自らの歴史に浸っているように感じる。それでも市松模様の文字盤、モダンなIWCのロゴ、そして40mmのサイジングにより、誰もこの時計をヴィンテージウォッチと混同することはないだろう。

この先、このモデル展開がどうなるかは誰にもわからない。 しかしIWCはインヂュニア(特にチタンモデル)で、今後のコレクションにおける新章を開くような声明を発表したのである。

ブランパンなによりも複雑な時計づくりに専念していた。

ィーラーであるウォッチ・ブラザーズ・ロンドン(Watch Brothers London)が、ブランパン シックス・マスターピースのスペシャルセットを提供してくれた。今回は1980年代に起きた、ブランパン再生のストーリーをお伝えしていこう。

「1735年の創設以来、ブランパンのクォーツ時計は一度も存在しない。そしてこれからも出ることはないだろう」

 1981年、ジャン-クロード・ビバー氏とそのパートナーであるジャック・ピゲ氏が、ブランパンを2万1500スイスフラン(当時の相場で約245万円)で買収したときに打ち出したのが、今では有名なこのスローガンである。彼らはクォーツショック以来、ほぼ休眠状態にあった時計メーカーのブランパンを、あの当時華やかだった新型クォーツウォッチに対して伝統あふれる逸品という位置づけをしていた。その11年後、ビバーはブランパンをスウォッチグループに6000万スイスフラン(当時の相場で約54億1450万円)で売却している。

ブランパンスーパーコピー時計代引きのこの時代は、キャッチーなスローガンとビバー氏の手腕による天才的なマーケティングの物語として語られることが多いが、同時に真の時計製造も行われていた。ビバー氏のパートナーだったピゲ氏は、エボーシュメーカーであるフレデリック・ピゲの息子だった。ピゲ氏とビバー氏は、ブランパンの“6本の傑作”(シックス・マスターピース)と現在呼ばれている作品をつくるべく、ともに計画を練った。クォーツショック以降多くの人が、このときには2度と戻れないだろうと思っていた時代に、スイスの伝統的な時計製造の歴史を彷彿とさせる複雑機構を備えたこの6本の機械式時計が誕生したのだ。それがコンプリートカレンダー ムーンフェイズ、ウルトラスリム、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフ、フライングトゥールビヨンの6つだ。シックス・マスターピースはすべて伝統的な34mmのラウンドケースでつくられ、同時に裏蓋には製造番号が割り当てられている。

 ビバー氏がTalking Watchesの記事で語ったように、ブランパンがコンプリートカレンダー ムーンフェイズを初めて発表したのは1983年のこと。ウルトラスリム Ref.0021はその翌年に登場した。80年代の終わりまでにブランパンは、シックス・マスターピースをすべて発表している。ビバー氏はもちろん、それぞれの名品のプラチナ製、No.00を保管しており、取材のなかで何本か見せてもらった。

jean claude biver blancpain
2万1500スイスフラン(当時の相場で約245万円)を6000万スイスフラン(当時の相場で約54億1450万円)に変えたなら、あなたもこれぐらい威張れるだろう。

 ではつくりたかったコンプリケーションをすべて実現したら、次はどうするのだろうか? もちろん、これらの機能をすべて組み合わせるのだ。1990年末、ブランパンは超薄型ムーブメントにパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、スプリットセコンドクロノグラフ、トゥールビヨン、ミニッツリピーターなどを搭載した、グランド・コンプリケーション 1735を発表した。

 1991年、ブランパンはシックス・マスターピースと、それらを組み合わせたグランド・コンプリケーション完成を記念し、それぞれ6本のマスターピースすべてをセットにした限定ボックスを発売する。全99セット限定でシックス・マスターピースをそれぞれプラチナ製にし、豪華なチェッカーボードボックスに入れてデリバリーしたのだ。色々な意味で、ビバー時代のブランパンの最高峰ともいえるだろう。翌年、ブランパンはスウォッチグループに売却された。さて、この99セットのうち、ウォッチ・ブラザーズ・ロンドンにてNo.1を発見した。これはブランパンと時計史に残る素晴らしい作品であり、コレクターのあいだで今再び評価され始めている。これを機にシックス・マスターピースを詳しく深掘りしていこうではないか。

シックス・マスターピースの背景
blancpain six masterpieces set platinum
Image (and hero image): Courtesy of Watch Brothers London/Owen Lawton

 ビバー氏はマーケティングの天才であることは間違いないが、クォーツウォッチに関する話をでっち上げることさえあった。「ある日スイス時計協会(Fédération Horlogère)から手紙が届いた」と、ビバー氏は2019年にヨーロッパスター内でそう語っている。「クォーツには発がん性があり、電池だから危険だ、と会合で発言していたことを手紙で咎められました」。しかしビバー氏とピゲ氏はそのささいな嘘の裏で、ブランパンの伝統的な時計製造のビジョンも抱いていた。

コンプリートカレンダー ムーンフェイズ Ref.6595
Blancpain complete calendar moonphase 6595
ドン・マクリーン(Don McLean)氏のTalking Watches記事で登場したブランパンの6595。シックス・マスターピースはオーストリッチのストラップで販売されることが多かったが、この写真のようにゲイ・フレアー社製のブレスレットをつけて提供されたこともあった。

「ブランパンを時と分だけの時計で再出発させたくはなかった。伝統的な渋さと美しい仕上げだけでなく、プラスアルファの機能も必要だったのです。ムーンフェイズは、ノスタルジーと詩的に満ちあふれた、理想的な機構でした」とビバー氏は言う。ビバー氏は、1940年代から使われていなかったカレンダーとムーンフェイズのムーブメントをつくるために必要な道具を、フレデリック・ピゲの屋根裏部屋ですべて見つけたという。この出来事からブランパンはスタートしたのだ。

Blancpain 6395 and 6596 calendar moonphase
1983年に発表されたミニムーンフェイズ(Ref.6395)と通常のサイズ(Ref.6595)。

 1983年に、ブランパンはコンプリートカレンダー ムーンフェイズ Ref.6595(34mm径)を発表。またあわせて26mmサイズのRef.6395も発表し、これは当時最小のコンプリートカレンダー ムーンフェイズとして記録も打ち立てている。小さくて薄く、そして6時位置にモナリザの微笑みのようなムーンフェイズを配したこの時計は、複雑で伝統的な時計製造でありながら、それを声高に主張することもないという、新しいブランパンが何をするためにあるのかという声明のようでもあった。クォーツではできない、高級感あふれる時計製造なのだと。ちなみに参考までにRef.6595は、スウォッチが市場に参入した同年に発売している。

 ところで、ここに掲載されている画像の多くがホワイト文字盤で宝石もなし、騒がしくないという傑作のなかでも最も保守的なものだ。しかし、これらのリファレンスの多くにはマザー・オブ・パールのダイヤル、宝石がセットされたベゼル、ピンク・オン・ピンクの例といった何十種類ものバリエーションが存在している。ただしどれも、コレクターがなかなか抜け出すことができない状況に陥ってまで何年も探し回るような、希少で美しいものばかりである。

ウルトラスリム Ref.0021
blancpain ultra-thin ref. 0021
プラチナ製のブランパン ウルトラスリムが2本。右はスケルトン仕様だ。Images: Courtesy of Antiquorum

blancpain ultrathin 0021 1990s
ブランパンの有名なスローガンを強調した、ウルトラスリム Ref.0021の広告。

 翌年、ブランパンは2本目となるマスターピース、ウルトラスリム Ref.0021を製造した。内部には1925年にピゲのクライアントのために初めて使用された、有名なF.ピゲのCal.21を搭載している。厚さはわずか1.75mmであり、最薄キャリバーの記録を20年間守っていた。Ref.0021は、さまざまなケースメタル、組み合わせで展開していたが、なかでもいちばん魅力的なのはスケルトン仕様だ。複雑ななかにさらに複雑な要素が含まれているようなものである。さらにブランパンは、Ref.0021の自動巻きモデルであるウルトラスリム Ref.0071も発表している。

 シンプルでエレガントなデザインであり、名作中の名作とまではいかないかもしれないが、このモデルで新しいブランパンの存在を主張していることは確かだ。

パーペチュアルカレンダー Ref.5395
blancpain perpetual calendar 5395
2014年、ジャン-クロード・ビバー氏が我々と時計について語り合ったとき、彼はブランパンを復活させたときのことを話してくれた。ブランパン シックス・マスターピースそれぞれのプラチナ製No.00を保管していた彼は、そのときいくつかの時計を見せてくれたのだ。

 次に、1986年に登場したのが、パーペチュアルカレンダーのRef.5395だ。ほかの傑作機と同様、直径34mmに厚さ9mmという小振りなサイズ感だった。同モデルは3つのインダイヤルと、6時位置にムーンフェイズを備えた、シンメトリーな美しい文字盤を備えている。私にとっては、大手メーカーが同時期に発表したQP(超薄型自動巻きパーペチュアルカレンダーのこと)とも並ぶと思っている(付け加えると、価格はその数分の1だ)。最初のバージョンにはうるう年表示がなかったが、ブランパンはすぐにアップデートを施したRef.5495でそれに応えている(それ以外は似たような感じだ)。

ロレックスミルガウスに本当に100万ドルの価値があるのかということだった。

ジュネーブでのオークションシーズン前、誰もが抱いていたと思われる大きな疑問のひとつは、ロレックス ミルガウスに本当に100万ドルの価値があるのかということだった。というのも、フィリップスオークションにブラックハニカム文字盤を備えた珍しいミルガウス 6541が出品されていたのだ。それはたしかにとても素敵なものだったが、フィリップスがつけた見積もり額に匹敵するほどの“とんでもない額のロレックス”という記録を打ち立てることができるのだろうか?

最終的にこのミルガウスは、224万スイスフラン(日本円で約3億4305万円)で落札。2013年に記録したミルガウスの最高値である31万7000スイスフラン(当時の相場で約3340万円)という結果を大きく伸ばす結果となった。ミルガウスの記録はこの週末に達成された、いくつかのロレックスの高額落札記録のうちのひとつに過ぎない。例えばサザビーズでは、金無垢の6241、“ジョン・プレイヤー・スペシャル”が223万スイスフラン(日本円で約3億4155万円)で落札され、フィリップスでもダイヤモンドをセットした6270が369万スイスフラン(日本円で約5億6515万円)で落札されている。オークション市場のすべてのセクションがそれほど好調をふるったわけではなかったが、これらの記録的な結果は、トップコンディションの希少な時計への関心、特にある落札者からの関心がこれまでになく高いことを示している。

オークションに出品された衝撃のロレックス
rolex 6270 diamond set baguette bezel
過去最高のものになった6270。

オークションはロレックスやパテックが中心である。過去3回のライブオークションの全ロットのうち、57%をこのふたつのブランドが占めていた(なおクリスティーズで開催した“アート・オブ・F.P.ジュルヌ”セールに出品された39本の時計は含んでいない)。そして今年はロレックスづくしとなった。

この記録的な結果よりも興味深いのは、(これらの時計を落札した)勝者の存在だ。それはロレックスである。ロレックスの代表者がこの週末中ずっとオークション会場にいて、記録的なミルガウス、JPS、6270のほか、少なくともほかに2ロット、計5ロットを落札したのである。その2本とは、57万1000スイスフラン(日本円で約8740万円)で落札したピンクゴールドの“ジャン=クロード・キリー” 6036と、17万7800スイスフラン(日本円で約2725万円)で落札したGMTマスター “キャプテン ウォーレン”である。

ミルガウス、JPS、6270、キリーはそのコンディションのよさから、そしてキャプテン ウォーレンはその来歴から、この5つのロットはすべて紛れもなく特別なものだった。キャプテン ウォーレンは1950年代のロレックス GMTマスターの広告に登場し、その後オリジナルオーナーの家族によってサザビーズに持ち込まれた個体である。ミルガウスは今まで見たもののなかでいちばん素敵だと、ほぼ全員が賛同していて大差をつけた。ケースはナイフのように鋭く光り、ハニカムダイヤルは元のままで、付属品もほとんど揃っている状態だ。

このモデルはあまり人気がなく、1019に取って代わられた1957年から1960年までしか生産されなかったため、ロレックスは6541を200本ほどしか生産しなかったとされている。確かにオリジナルのミルガウスはニッチな時計であり、おそらく今後もその位置付けは変わらないだろうが、しかしこのモデルを手にしたことで、ミルガウスを“聖杯”と呼んでいる人たちがいる理由がよくわかった。強い面取りを施した38mmの控えめなケースに、豊かなハニカムダイヤル、そして回転ベゼルを備えるなど、ヴィンテージロレックスに求められているすべてを備えているからだと。

また記録的なJPSは、最高品質のコンディションに対する需要が高いことを示している。この例は約250万ドルで落札されたが、アンティコルムに出品されていた別のJPSの例はあまりいい状態を保っておらず、販売には至らなかった。これまで以上にコンディションこそが真に重要なポイントなのだ。

最後に先週行われたプレビュー記事で記録的な6270を取り上げたが、繰り返しにはなるものの、この時計は史上最もクールな時計のひとつだ。何の変哲もないバルジューを搭載した手巻きクロノグラフに、このレベルのダイヤモンドをセッティングしただけ? 正気の沙汰とは思えない。またこの個体の金無垢ブレスレットには派手にパティーナもついている。

もちろん、ロレックスは博物館を持たないが(まだか?)、最近のオークションにおける活動は、ロレックスが自社の遺産や歴史に関心を持ち続けていることを物語っている(ロレックスは昨年の11月にも数ロット落札している)。そしてロレックスは新型デイトナを発表すると同時に、いくつかのデイトナをWatches & Wonders内に(歴代デイトナを振り返るスペースを)展示していた。このモデルには過去のデイトナへの明確なオマージュがいくつかある。ロレックスの公開入札は見ていてワクワクするものだった。ときにはオークショニアとブランドの代表者がアイコンタクトし、互いにうなずくだけで次の入札が入ったこともあった。それは控えめな行為だったことは確かだが、わかる人が見ればすぐにわかるものだった。

ただすべてのロレックスの時計がこれほど好調だったわけではない。一部から真偽を疑問視する声もあった、裏蓋にハンジャルの刻まれたゴールドの6269は、クリスティーズで110万スイスフラン(日本円で約1億6835万円)で落札され、指標を下回る結果に終わった。

しかし、ブランドそのものを頂点とする入札に後押しされ、ヴィンテージロレックス市場は好調を維持し続けている一方で、モダンウォッチは低迷を続けている(なかにはいまのセラミック製デイトナが5万ドル/日本円で約690万円 で売れているものもあるが、それでも納得のいかない結果もあった)。

ジュネーブで行われたオークションの全貌を紹介するフォトレポートなど、今後もオークションに関する情報をお届けしていく。

チューダーが2型のペラゴス FXD アリンギ・レッドブル・レーシングモデルを新発表。

チューダーが大きなニュースを届けてくれた。アメリカズカップのヨットレーシングチーム、アリンギ・レッドブル・レーシング(Alinghi Red Bull Racing)とのパートナーシップ締結を記念して、2種類のペラゴス FXDを発表したのだ。(ペラゴス FXDとしては)新しいクロノグラフに、両モデルともにカーボンコンポジット製ケースを採用。ペラゴス FXDの本来のミリタリー由来のテイストとは大きく変化しているため、詳しく説明しよう。

tudor fxd chronograph
新作は42mmの時刻表示のみのモデル(Ref.M25707KN)と、ペラゴス初となる43mmサイズのクロノグラフ(Ref.M25807KN)で展開。これらの新しいFXDはどちらもマットブルーダイヤルに赤いアクセント(レッドブルのイメージだ)を配している。またどちらもマットブラックのカーボンコンポジット製ケースに、1分刻みに塗布された60分目盛りのカウントダウンスケールを持つカーボンインサートが付いた、チタン製の双方向回転ベゼル(120クリック)を装備。

アリンギの両モデルともに、オリジナルのFXDと同じ、固定式のストラップバーを備えたフックアンドループ方式(面ファスナー)で開閉できる、ワンピースのブルーファブリックストラップをセット。時間表示のみのモデルは47万800円、クロノグラフは65万2300円(ともに税込)で販売される。

我々の考え
驚いたといっても、このFXDの進化はまったく予想外だった。カーボンケースだって? しかもクロノグラフ? これはペラゴスが発表されて以来、最も技術的に前進したペラゴスの進化を表すワイルドなムーブである。当然のことながら、僕はこの進化に大賛成だ。

tudor fxd chronograph
腕時計の世界は、長いあいだヨットレースに魅了されてきたが、その魅力によってアメリカズカップを競うさまざまなチームと協力して製造される、真に素晴らしい時計の誕生につながっている。チューダーは2022年にアリンギ・レッドブル・レーシングとのパートナーシップをスタートしている。それは、チームがレースで使用したボートから直接インスピレーションを得ることができるということで、ヨットレースに合うタフな時計が欲しい場合、このカーボンケースを持つFXDクロノグラフはその任務を遂行するのにうってつけだ。またこの素材がチューダー(またはほかの特定の姉妹ブランド)の量産用腕時計に採用されたのも、これが初めてである。

写真を見れば見るほど、カーボンケース特有のダークマットブラックに囲まれた、マットブルー文字盤のカッコよくもテクニカルな印象がどんどん好きになる。それとベゼルインサートの繊細なカーボン仕上げと並行した、チタン製プッシャー/リューズのコントラストも本当に素晴らしいと思う。重量の数値については情報を集めているので、できるだけ早くこの記事を更新するつもりである。

アリンギ・レッドブル・レーシングとの関係有無にかかわらず、この新しいFXDがペラゴスのなかで大人気になるのは目に見えている。また、サイズが大きくなったにもかかわらず(ただケース材料によってある程度諸々緩和されているはずだ)、クロノグラフはこの独特の風味を持つ新しいFXDペアで特に際立っているように感じられる。新作はペラゴスの血統を大きく進化させており、チューダーの真にモダンなスポーツウォッチの最先端を表現し続けている。

基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ペラゴス FXD アリンギ・レッドブル・レーシング エディション(Pelagos FXD Alinghi Red Bull Racing Edition)、ペラゴス FXD クロノ アリンギ・レッドブル・レーシング エディション(Pelagos FXD Chrono Alinghi Red Bull Racing Edition)
型番: M25707KN(3針)、M25807KN(クロノグラフ)

直径: 42mm(3針)、43mm(クロノグラフ)
厚さ: 12.75mm(3針)、13.6mm(クロノグラフ)
ケース素材: カーボンコンポジット(ステンレススティール製ミドルケースを装備)
文字盤: マットブルーに赤のアクセント
インデックス: アプライド
夜光: グレードX1スーパールミノバ
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 面ファスナー開閉式ストラップ(両モデルともに固定式バー付き)

tudor fxd chronograph
ムーブメント情報
キャリバー: MT5602(3針)、MT5813(クロノグラフ)
機能: 時・分・センターセコンド(3針)、時・分・スモールセコンド、日付表示、45分積算計、ランニングセコンドサブディスプレー(クロノグラフ)
パワーリザーブ: ともに約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
クロノメーター: あり、COSC認定

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