シチズンの“フジツボ”が、ブラックのスーパーチタニウムで復活。

特定のブランドを買い求める際、その製品ラインのなかでもさほど象徴的でないものを手に取るような人はいるだろうか? 昨年、ジェームズ・ステイシー(James Stacey)は、初期のプロマスター メカニカル “フジツボ”ダイバー(通称“チャレンジ”ダイバー)が、少なくとも表面上において、シチズンのラインナップのなかでも極めて典型的なダイバーズウォッチのひとつであることを率直に指摘した。シチズンといえば、直径46mmのオルカ、同じく46mmのエコ・ドライブ プロマスター ダイバーズ、そして直径48mmのエコジラなど、巨大で人目を引く時計が思い浮かぶ。そして、これらはまさにブランドにとってアイコン的存在だ。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
「シチズンというブランドを愛しているからこそ、シチズンが欲しいのだ」と自分に言い聞かせ、その時計のなかでもっとも“スタンダード”なものを選ぶ人に私は拍手を送りたい。もしかしたら、あなたはネオヴィンテージのディープなモデルのほうが好きかもしれないし、伝統主義者であるかもしれない。しかし、もしあなたがシチズンのなかでも、現代的なカルトクラシックモデル(しかも大振りでワイルドな)のなかから“フジツボ”に手を伸ばしているのだとしたら、それはおそらくシチズン愛好家のうちでは少数派だろう。だが、私はそのことについてあなたを責めはしない。オリジナルのスーパーチタニウム製プロマスター メカニカルダイバー(そして私が所有するブルー文字盤モデル)は、同僚のジェームズの言葉を借りれば“別格”だ。

 そう、そしてシチズンはスーパーチタニウム製プロマスター メカニカルダイバーにデュラテクトDLCコーティングを施した新モデルを発表した。今作は“別格”か、それ以上のものだ。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
 新しいプロマスター メカニカルダイバーシリーズは、シチズンのヴィンテージ“チャレンジダイバー”を完璧に再現したものではなく、同作を確固たるベースとして作られたものだ。だが、1960年代や1970年代のヴィンテージダイバーズファンならば、どこからインスピレーションを得ていかなどはすぐにわかるだろう。オリジナルモデルを見たときに私が最初に感じたのは、セイコーの62MASに似ているなということだったが、これはその当時の流行だったからにほかならない。

 もちろん、この時計はヴィンテージの時代からは少し強化されており、200m防水と少し大きめの41mmケース(ヴィンテージの40mmから1mmアップ)を備えている。20mmのラグ幅は私がこの手のダイバーズに常に求めている基準であり、夏のあいだはNATOに付け替えれば気軽に装着が可能だ。それにしても、なぜ私はブレスレットをはずそうと思うのだろう?

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
ブラックコーティングの腕時計を理解しよう

ジェフ・スタインは2021年の記事で、ホイヤーのダークロードとそのほかのコーティングウォッチを論評している。

 ここで話を単純化しすぎないようにしたいのだが、私がこの時計を好きな理由の大部分は、ケース、ブレスレット、文字盤のすべてが一体となった全体的な雰囲気(子供っぽい表現だが)にある。私は“コーティング”された時計が(おそらく非論理的なまでに)大好きだ。PVDであれ、DLCであれ、そのほかのコーティングであれ、私の関心を引きつけてやまない。もし資金が無限にあったら、ヴィンテージのあらゆるコーティングウォッチのコレクションを作るだろう。

 シチズンは、ケースとブレスレットにデュラテクトDLCコーティング(多くの小売業者のサイトに掲載されているようなPVDコーティングではない)を採用している。ブランドはこれをブラックコーティングと呼んでいるが、ポルシェデザインのクロノグラフ1やヴィンテージホイヤーの “ダークロード”のような時計に見られる本物のマットブラックとは異なり、どちらかというとダークグレーのように見える。このカラーは光の加減で変化し、ケースのファセットやフォルムにコントラストがあまり見られない、多くのマットコーティングの時計との違いは興味深いと思った。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
 文字盤はダークグレーの外観に倣うようなフュメダイヤル。モーザーレベルのフュメではないが、17万500円(税込)でそれを期待してはいけない。シチズンのオンライン画像では、ダークな外縁から内側のグレー部分にかけてのグラデーションの度合いがよくわからないが、実際に見ると劇的な効果を生み出している。この写真からは、光や周囲の環境から時計が受ける色によって、グリーンからマゼンダに近いトーンに変化している様子がわかるだろう(光やカラーバランス、グレーの色調を頻繁に扱うフォトグラファーにとっては驚くべきことではないかもしれないが)。

 デイト窓の有無は常に議論の的になる。ここで「水中で日付を知る必要がある場合、どれだけ困ることか!」というジョークが入るわけだが、私には少しも気にならなかった。デイト窓と文字盤の色を合わせれば、より統一感のあるデザインになるのは明らかだ。だが、このようなグラデーション文字盤の場合、色を合わせるのは難しいだろう。今作においては文字盤の周りにインデックスがあるため、白のコントラストはそれほど強く見えない。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
 ケースのコーティングは言うまでもなく、シチズンによるスーパーチタニウムのケースはかなり素晴らしい。このモデルでは、ジェームズがレビューで語ったものと同じ幅41mm、厚さ12.3mmのケース寸法を踏襲している。同じドーム型ではめ込み式のクリスタルや、シチズン独自のCal.9051(秒針ハック機能付きで2万8800振動/時の自動巻きムーブメント。手巻き機能、日付表示、42時間パワーリザーブを備え、耐磁性ヒゲゼンマイを採用)の搭載も同様だ。確かにムーブメントは手首に装着すると、ちょっと、まあ、“価格相応だな”と感じるかもしれない。軽量なケースは、時折荒々しく回り、わずかにルーズな感触のローター内部を際立たせているようだ。少なくとも、これが動き続ける限りは。

 しかし、ここではケース自体の素材が鍵となる。時計業界や時計コレクターのコミュニティでいろいろな人と話していると、たとえその100倍の値段の時計を持っていたとしてもほとんどの人がシチズンをいくつかコレクションに加えているようであり、そのなかでもスーパーチタニウムのモデルは傑出している。ある人はこの素材を「ほとんど無敵」だと言った。それは少し大げさな表現であるにせよ、どれだけ頑丈なのかを物語っている。まあ、オリジナルのヴィンテージチャレンジダイバーが、フジツボまみれになってオーストラリアのビーチに打ち上げられるまでの数年間を海で過ごしたことから“フジツボ”と呼ばれるようになったことを考えると、それもあながち間違いではないのかもしれない。この時計も、まさにそうなりそうな予感がしている。

 より手ごろな価格で時計を提供するためには、どうしても譲歩しなければならないことがある。私は最近、このシチズンのブルーモデルをチューダーのペラゴス 39と並べてみたことで、シチズンのブレスレットが少し硬いことに気づかされた。手首に巻いている分にはほとんど気にならない。だが、時計をはずしたときには、その厚みと、ラグの最初のリンクと残りのブレスレット間のたわみが少ないことがわかる。時間が経てばこれがゆるんでくるのかどうか、気になるところだ。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
 この時計が本格的なダイバーズウォッチであり、その機能を十分に備えていることは強調しておきたい。ねじ込み式リューズ、ダイブベゼル、そしてクラスプのスライドによるダイバーズエクステンションを駆使することで、この時計はその実力を十分に発揮することができる。最近、バハマの温かい海で何度かダイビングをした。時計をレビューするには過酷な環境だ。

 水中で潜水時間を計測するためにベゼルを握ろうとする私のやせ細った指でも、ベゼルはきちんと回転する。ダイブコンピューターの代わりにはならないが、あなたがHODINKEEの読者なら、手首に昔ながらの時計があるに越したことはない。ナッソー沖にあるジェームズ・ボンドの映画で使用された難破船付近は40フィートと比較的浅かったのだが、翌日潜った難破船“レイ・オブ・ホープ号(Ray of Hope)”付近は60フィートと少し深かった。だが、文字盤が暗いので針とインデックスは見やすく、コントラストが効いている。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
ジェームズ・ボンドの難破船は、もはや映画『007/サンダーボール作戦(原題:Thunderball)』のためにグラスファイバーで作られたバルカン爆撃機の模型の面影を残していない。代わりに、サンゴで覆われた水中ジャングルジムのように見える。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
難破船“レイ・オブ・ホープ号”を通過。

 これは、この黒い時計のなかでひときわ目立つ夜光によるところが大きい。とはいえ、高価なダイバーズウォッチに見られるような急速な蓄光はできない(ロレックスのように一晩中ベッドサイドで光っているような時計とは違い、長持ちもしない)。だが、この比較的浅いダイビングにおいて、ボートに乗って太陽の下で1時間充電した後に確実に仕事をこなしてくれた。

Citizen Promaster Dive Automatic in Black Super Titanium
 ブラックの新作“フジツボ”で数日間ダイビングをしたのちに私が発見した最高のディテールのひとつが、使い込んだ後のユニークな外観だ。コーティングされたケースにありがちなことだが、この時計も傷などではなく、海水のしぶきによる水染みやダイビングを終えてボートに乗ったときに付着した水滴の跡で、すぐに風格が漂うようになった。これらの模様は少しすると拭き取れてしまうが、なぜそんなことをするのか? この跡が時計をより個性的なものにしているのに。

オメガ シーマスター ダイバー 300M “パリ 2024” スペシャルエディションが

パリ五輪は1年後かもしれないが、オメガはすでに金メダル獲得を目指している。

オメガによると、今のところパリにあるオメガブティックでのみ購入できるという。この新しいスペシャルエディションはスタンダードなシーマスター 300Mでありながら、ムーンシャイン™ゴールドのベゼルと、来たる2024年の大会に敬意を払ったいくつかのディテールを備えている。

オメガ シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM パリ 2024
 18Kのムーンシャイン™ゴールドベゼルは、パリスペシャルエディションにオメガが加えた最大の変更点だ。レーザー加工で浮き彫りにされたダイビングスケール、12時位置にはスーパールミノバの夜光を備えている。裏蓋にはムーンシャイン™ゴールドで象嵌されたパリ 2024のメダリオンと、ミラーポリッシュ&フロスト加工の“Paris 2024”の文字および五輪の刻印を配している。パリ 2024ロゴのフォントも注目のポイントで、オメガはダイヤル6時位置にある、日付表示ディスクにも同じフォントを使用している。文字盤自体はホワイトセラミック製のマット仕上げに波模様を描いているほか、センターセコンド針には通常の夜光マーカーの代わりに小さなパリ 2024エンブレムを取り付けている。

オメガ シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM パリ 2024
 そのほかのスペックは最新のシーマスター 300Mと同様だ。つまりオメガのMETAS認証を受けたマスタークロノメーターCal.8800を搭載し、約55時間のパワーリザーブを確保しているということである。ケースの直径は42mm、厚さ13.7mmで、ステンレス製のブレスレットにはオメガの新しいクイックチェンジシステムが採用されている。メーカー希望小売価格は税込で124万3000円である(なおスタンダードなSS製シーマスター ダイバー 300Mは税込84万7000円)。オメガによると、これは2024年パリ大会の特別版だが、シリアルナンバーの刻印や数量を絞ることはないという。

我々の考え
オメガ シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM パリ 2024の文字盤
オメガがオリンピックの公式タイムキーパーを担当するのは、2024年のオリンピックで31回目となるが、ブランドはこの記録を1932年から保持している。だから少なくともパリ大会を記念した特別版がひとつかふたつは出るだろうと予想はしていた。スペシャルエディションに対する思いはさておき、2024年オリンピックの丸々1年前に記念式典を始めるなんてさすがに早すぎると思うかもしれないが、これは大変見栄えのするシーマスター プロフェッショナルモデルだ。現在のカタログにゴールドベゼルを持つSS製シーマスター 300Mはないから、この特別版ではオメガが少し違うことをしているのがわかる。オメガのムーンシャイン™ゴールドの落ち着いたトーンはSSのケースやブレスレットと相性がいいようだ。

オメガ シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM パリ 2024とセットになったボックス
 124万3000円(税込)という価格は、一般的なSS製シーマスターに比べればかなりのプレミアム値だが、それでもその設定に違和感はない(例えばSS製のサブよりもまだ安い)。オメガは“今のところ”パリでのみ販売すると述べている。しかしこれがより広い地域で購入できるようになるか、少なくともオメガが新しい方法でこのゴールド合金を取り入れるために多くの努力を積み重ねていても、私はなんら気にしない。

基本情報
ブランド: オメガ(Omega)
モデル名: シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM パリ 2024(Seamaster Diver 300m Co-Axial Master Chronometer 42mm Paris 2024)
型番: 522.21.42.20.04.001

直径: 42mm
厚さ: 13.7mm
ケース素材: ステンレススティール、ムーンシャイン™ゴールドベゼル
文字盤: ホワイトセラミック
インデックス: アプライド
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット、クイックチェンジシステム
総重量: 204g

オメガ シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM パリ 2024の裏蓋
ムーブメント情報
キャリバー: 8800
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示
直径: 26mm
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万5200振動/時
石数: 35
クロノメーター: METAS認定のマスター クロノメーター
追加情報: コーアクシャル脱進機、シリコン製ヒゲゼンマイ

価格 & 発売時期
価格: 124万3000円(税込)
発売時期: 2023年7月
限定: オメガパリブティック限定(いまのところ)

メンズ腕時計の人気ブランドを一挙紹介!

腕時計には数多くのブランドがあります。各ブランドで特徴や力を入れているところが異なり、そこがまた個性にもなっています。この記事では、多くの男性から支持されている腕時計ブランドを紹介します。また、20代から50代まで、それぞれの年代におすすめのモデルもお伝えするので、腕時計選びの参考にしてください。

メンズに人気の腕時計ブランド

メンズの腕時計では、歴史と伝統に裏打ちされた数多くの名門ブランドが存在し、それぞれに独特の魅力があります。年代やシーンに応じて選ぶブランドも変わってくるため、まずは各ブランドの特色を理解することが大切です。

ロレックス
ロレックスは、高級腕時計の代名詞ともいえるブランドです。最低でも50万円以上しますが、リセールバリューが高く、オーバーホールすれば長く使えるため、十分に元は取れるでしょう。人気があるのは、サブマリーナやGMTマスターIIのようにベゼルが個性的なモデルです。また、シンプルで比較的安価なエクスプローラーも人気を集めています。

ウブロ
ウブロは、1979年にカルロ・クロッコがスイスのニヨンで創業したブランドです。 ベゼルに留められたビスと異素材の組み合わせによる唯一無二のデザイン性が特徴です。マニッシュな雰囲気と迫力を感じるビジュアルから、日本でも多くのスポーツ選手や芸能人が着用しています。 さらに、近年はムーブメント開発も積極的に行い、デザインから製造までをすべて自社で生産しています。ウブロは、 デザインだけでなく、機能性も兼ね備えた一流ブランドに成長しています。

フランクミュラー
フランクミュラーは、時計師のフランク・ミュラーが開発・デザインを手がけたブランドです。歴史はまだ浅いですが、アンティーク調のデザインと文字盤の個性的なフォントで人気を集めています。デザインがシンプルなカサブランカは、仕事中でも身につけやすく、価格も50万円台と安価です。

オメガ
オメガは、宇宙や深海など過酷な環境を前提に開発された腕時計が多く、スピードマスターやシーマスターなどのスポーツに特化したモデルがラインアップされています。有名ながらメンズなら20万円台から購入できるのが魅力です。特にベーシックな機能とデザインに徹したアクアテラが人気です。

ハミルトン
ハミルトンは、腕時計本体が左向きの三角形になっているベンチュラが有名です。メンズでは、オーソドックスなデザインのデイデイトやエアレースも人気です。ほとんどのモデルが10万円前後で購入できるので、2本目やプライベート用の腕時計としても重宝するでしょう。

IWC
IWCの腕時計は、直径が50mm前後ある(通常はメンズで40mm前後)モデルが多く、体格のよい男性がつけても存在感を発揮します。ポルトギーゼやパイロット・ウォッチが人気です。また、ダ・ヴィンチのようにファッション性を高めたモデルもあります。価格は40万円台からです。

タグホイヤー
タグホイヤーは、時間の計測技術に定評があるブランドです。多くのモデルで1〜3つのインダイヤルがあるのが特徴です。耐水性にも優れており、スポーツウォッチとしても人気を集めています。また、キャリバー5のようにインダイヤルがないモデルもあります。価格も20万円台とお手頃です。

ブライトリング
ブライトリングは、パイロットから支持されているブランドです。時間計測の機能を豊富に盛り込んでおり、世界時計にもなるトランスオーシャンは、海外出張が多いビジネスマンにおすすめです。20万円台から購入できるコルトやスーパーオーシャンも人気です。

ロレックスのベストバイモデルを5本挙げた。

ちょっと一緒にウェイバックマシン(インターネット上のデジタルアーカイブ)に乗り込んでくれないか? まずは2012年までさかのぼってみよう。この年はジョン・メイヤー(John Mayer)が、8000ドル(約120万円)以下で買えるベストバイヴィンテージロレックス5本をすすめた記事を書いている。

小型のiPhone4Sをポケットに入れて持ち歩いていたあの平穏だった当時であれば、エクスプローラー 1016、GMTマスター 1675、サブマリーナー 5513といった4桁の数字を持つクラシカルなものをすすめることができた。

あれから11年がたった今、いまでも予算が8000ドル(約120万円)しかない場合、これらのリファレンスの多くは手の届かない存在になってしまったため、このおすすめを見直すときが来たと考えている。しかし待てよ。タイトルには“1万ドル(約150万円)以下”と書いているじゃないかと思ったかもしれない。十数年が経過すれば、8000ドルは新たに1万ドルほどの価値になったといっていいと思う(インフレ計算機を立ち上げながら)。そして1万ドル(約150万円)以下で手に入るヴィンテージロレックスのベストバイアイテムが、SEO対策になると周りに言われたのでここで紹介しよう(みんな、またキーワードを使えたよ!)。

今回はディーラーやコレクターの友人ら数人に聞いて、1万ドル(約150万円)以下で手に入る最高のヴィンテージロレックスを調査した。この予算だとクラシックな4桁リファレンスの大半が手に入れられないため、多くの人は1980年代と90年代、いわゆるネオヴィンテージロレックスに価値を求めており、そのほとんどはロレックスが使用していた5桁のリファレンスナンバーによって定められている。これらのリファレンスの多くはサファイアクリスタル、ルミノバ、クイックセットデイト、ミラーダイヤルなど、今でこそ高級なロレックスに求められている現代的なアップデートの一部を少しずつ導入していた“過渡期”に作られたものだ。しかし、私たちが愛するツールウォッチとなったヴィンテージのDNAは健在している。

エクスプローラー 14270
エクスプローラー 14270
2012年のリストと同じように、まずはエクスプローラーから始めなければならないだろ。調査をしたところ、1989年から2000年まで生産された、エクスプローラー 14270の名前が最も挙がった。少し豪華になったくらいで、昔の1016と同様にシンプルだ。おそらくロレックスのなかでいちばん純然たる表現がされたツールウォッチであるとも思っている。

ベン(・クライマー)にレコメンドを頼んだが、彼はシンプルに“初期の14270だ”と答えた。ちなみに14270(少し価値がある)は彼が初めて買ったロレックスであり(もちろんブラックアウトした珍しいバージョン)、エリック・クー(Eric Ku)氏も“僕が愛した最初のロレックス”だと語ったことがある。ちなみにほかにどんな価値(どちらかといえばかなり低い)があるかというと、私の初めてのロレックスでもあったことだろうか。

 14270は生産期間中に多くの変更が加えられた。それは文字盤に使用されている蛍光塗料によって区別され、10年のあいだに“T-Swiss”から“Swiss Only”に、そして“Swiss Made”へと表記が変化している。ダイヤル、ケース、ブレスレットにも変更があり、それについてはダニー・ミルトンが書いた14270に関する深掘り記事で紹介をしている。ただし1万ドル以下であれば、ブラックアウトダイヤルのようなごくまれなものを除いて、さまざまなバリエーションを選ぶことができる。

 私はベンと同じく、トリチウム夜光に、ストラップやブレスレットの変更が簡単にできるラグ穴を備えた、初期の14270 “T-Swiss” エクスプローラーに1票入れたい。エクスプローラーの美点のひとつは、どんなものにも合うことだ。ロレックスは94年頃に14270のラグ穴を廃止し、また98年頃にトリチウムの採用をやめた。ほかのバリエーションについてもっと詳しく知りたいなら、ダニーの記事(“トリチノバ”ダイヤルの部分)を参考にしてほしい。14270の両方の長所を説明した同記事の引用を下記に残しておこう。

 “Ref.14270は現代のロレックスのアイデアに多くのことを遺した時計であるし、今後何年にもわたってその古きよき時代のミニチュアとして楽しむことができる時計なのだから”

価格: 5500~6500ドル(日本円で約80万~95万円)

エクスプローラーII 16570(ポーラー)
ロレックス エクスプローラーII 16570
“Swiss Only”表記の16570。

 エクスプローラーII 16570 “ポーラー”は、長いあいだ熱狂的なファンに支持されてきた。これはホワイトダイヤルを持つクリーンなスポーツウォッチで、ロレックスのカタログではあまり見かけないモデルだ。

 “サイズ、機能性、新旧ロレックスとのミックス、なにより日常的なロレックスのなかでも一風変わった存在のエクスプローラーIIの継続というのが気に入っている”と、私の同僚であり、16570の誇りあるオーナーであるジェームズ・ステイシーは述べている。

ロレックス エクスプローラーII 16570
トリチウムマーカーが経年変化した、初期の16570。

“何度でも16570のホワイトダイヤルと言いたい。なかでも理想はトリチウムがいい”。1万ドルの質問をしたところ、Fog City Vintageのティム・ベンダー(Tim Bender)氏はそう答えた。

特にベンダー氏は、黄色/オレンジへと色合いが変わった夜光マーカーにちなんで付けられた、16570の“Chicchi Di Mais(チッチ ドゥ メイ)”ダイヤル(イタリア語でトウモロコシの粒の意)のファンだという。これらのダイヤルは90年代初期のトリチウムエクスプローラーII(E、X、N、S品番)で見られる個体だ。

同氏は“クリーム色の16550 エクスプローラーIIよりも、むしろこっちのほうが好きなんだ”と話す。クリーム色の美しいパティーナへと熟成したものに、コレクターは大金を払っていると言及した。“チッチ ドゥ メイはおそらくその16550と同じくらい希少なものだが、流通価格は約3分の1である”。

今日、これらのうちのひとつを買うには、1万ドルから1万2000ドルはくだらないと彼は言う。今回の1万ドル演習のために、仮に私が平凡な交渉役で、ティムが1万ドルで売ってくれたとしよう。そしてそんなイタリア的なことにこだわらないのであれば、ティムはドリルドラグと、しっかりとしたエンドリンクを備えたルミノバダイヤルのものをすすめてくれるだろう。これらは2000年初頭に数年間だけ提供されていたものだ。それであれば軽く1万ドルを下回る。

ジェームズは16570の実用性を強調し、ベンダー氏はチッチ ドゥ メイのような変わり種の潜在的なコレクター性に注目した。ここ数年、多くの人が5桁ロレックスの時代に心引かれるのは、ジェームズが言及した新旧のミックスロレックスにある(4桁モデルはますます手が届かなくなってきているのも加味して)。

“ホワイトダイヤルは、16570が僕のお気に入りの5桁ロレックスのなかで最も気に入るほど魅力的だ。いやむしろ、今まででいちばん好きなモダンロレックスだと言い切れる”とジェームズ。彼にはピッタリだし、私にとっても十分なのだ。

価格: 7500~9500ドル(日本円で約109万~138万円)。チッチ ドゥ メイは1万~1万2000ドル(日本円で約146万~175万円)

“セイコー ルキア”30周年記念数量限定モデル全2種が登場。

セイコーのウィメンズブランド”セイコー ルキア”より、俳優の池田エライザさんとアーティストの三浦大地さんによる限定コラボモデル全2種が登場。2025年11月8日(土)から。ブランド誕生30周年の節目にあたる特別なコラボウオッチだ。

セイコー ルキア LUKIA Grow ELAIZA IKEDA × DAICHI MIURA Limited Edition
■Ref.SSVW242。SS(27.5mm径)。10気圧防水。ソーラー電波(Cal.1B32)。限定800本。9万6800円

セイコー ルキア
LUKIA Grow ELAIZA IKEDA × DAICHI MIURA Limited Edition
本作は、池田さんが時計本体を、三浦さんがスペシャルボックスのデザインを担当。

満天の星空を表現した”SSVW241”は、オールブラックのケースとブレスレットに、ラメを散りばめたデザインの1本。1時・8時位置に、3石のラボグロウン・ダイヤモンドを配置。非対称に配置することで、自然な星々をイメージした。

対となる”SSVW242”は、月の穏やかな光をイメージした1本。シャンパンゴールドとシルバーを組み合わせたケースに、グラデーションを施した白蝶貝の文字盤を採用。中央には月の軌道を象徴するオーバルラインをあしらった。

両モデルの裏ブタには、池田お気に入りの土星モチーフを刻印する。

各ケースサイズは、27.5mm。素材には、ステンレススチールを採用。一部”SSVW242”には、独自開発のプラチナダイヤシールドやシャンパンゴールド色めっきが使われている。

ムーヴメントにはソーラー電波式キャリバー”1B32”を搭載。日本や中国、アメリカ、ドイツの標準電波に対応し、フル充電で約6カ月間駆動する。

セイコー ルキア LUKIA Grow ELAIZA IKEDA × DAICHI MIURA Limited Edition

収納ボックスは三浦さんによるデザインで、星と月の女神をテーマにした幻想的なアートワークを採用。彼の代表的アイコン“ジョシー”と池田さんを重ね合わせたビジュアルが印象的で、作品としても完成度の高い仕上がりだ。さらに、三浦さんがデザインしたクロスと土星モチーフの巾着も付属する。

なお、販売価格は各9万6800円で、それぞれ800本限定となる。

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