偉大な時計メーカーの歴史をお伝えしよう。

今年はウルバン・ヤーゲンセンの誕生から250周年にあたる。現在ウルバン・ヤーゲンセンと呼ばれているブランド(あるいはそのブランド名の由来となったデンマーク人時計職人)についてよく知らない人にとっては、知識を得る絶好の機会である。今週開催される第18回ジュネーブ・オークションと並行して、フィリップスはヘルムート・クロット博士(Dr. Helmut Crott)の貴重なコレクションによるヤーゲンセンの250年を祝した特別展を開催する。11月1日(水)から4日(土)まで、ジュネーブ郊外のラ レゼルヴで25を超えるコレクションが公開される。

 ヤーゲンセン一族によるウォッチメイキングの歴史は、18世紀のヨーゲン・ヤーゲンセン(Jørgen Jørgensen)の誕生によって始まる。彼はデンマークの職人たちによる金メッキ加工技術に、新しい理論と実践的な手法をもたらしたと言われている。やがて彼はドイツとスイスに渡った。ヨーゲンの長男であるウルバン・ヤーゲンセンが家名を継承し、一族のみならずデンマーク全土において最も名高い時計師となったのだ。彼はアブラアン-ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet)やフェルディナント・ベルトゥー(Ferdinand Berthoud)らから手ほどきを受け、生涯を通じて時計やマリンクロノメーターを製作していくことになる。

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ジョン・アーノルド(John Arnold)によるスプリングデテント脱進機を備えた、ウルバン・ヤーゲンセンの1812年製デッキクロノメーター。8つのうちのひとつ。

 やがて、ヤーゲンセンの名は一族から消えていく。そこでピーター・ボームベルガー(Peter Baumberger)とデレク・プラット(Derek Pratt)が、かつての栄光を取り戻すことを目標にこの商標を取得したのである。ボームベルガーによる指揮のもと、プラットはマスターウォッチメーカーとしての卓越した技能を発揮し、息を吹き返したウルバン・ヤーゲンセンのために美しく複雑な時計の製作を開始した。

 その後2010 年にボームベルガーが悲劇的な死を遂げると、クロット博士がこのブランドを取得する。オークショニアとして活躍していたころからボームベルガーとプラットを知っていたクロット博士は、1980年代のウルバン・ヤーゲンセン初期の懐中時計を個人的に収集し始めた。そして最終的に、独立時計師のカリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏がヤーゲンセンの看板を託されることになった(彼にインタビューした記事はこちら)。

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デレク・プラットが手がけたヤーゲンセンのオーバル No.1。仕上げはヴティライネン氏による。このプラチナ製の懐中時計は、ワンミニット フライングトゥールビヨン、ルモントワール、コンスタントフォーススプリングデテントクロノメーター脱進機、ジャンピングセコンド、パワーリザーブインジケーター、温度計、ムーンフェイズを備えている。

 クロット博士は長年にわたってヤーゲンセンの時計を収集し続け、ヤーゲンセン家オリジナルの懐中時計と、プラットとボームベルガーによる現代的な作品の両方をコレクションしてきた。そして今回、フィリップスの協力を得て、彼のコレクションから27点を展示することになった。誤解のないように言っておくが、展示物はいずれも今年のジュネーブ・オークションに出品されるものではない(この週末のオークションでは、3点の異なるヤーゲンセンの時計が出品される)。これはヤーゲンセンの時計製造の250周年を記念した特別展示で、メーカーにとって最も重要なコレクターのひとりとその後援者が手がけたものである。

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2012年に製作されたウルバン・ヤーゲンセンのパイロットモデル。特許を取得したピボットデテントクロノメーター脱進器を搭載。

 フィリップスはジュネーブでの展示会と合わせて、クロット博士が執筆した詳細なブランドヒストリーを含む素晴らしいコレクションカタログを作成した。さらに、クロット博士がヤーゲンセンについて語った3部構成のインタビュービデオもある(こちらから確認できる)。時計、特にブランドの真の研究者であるクロット博士の協力のもと、ヤーゲンセンの時計とその歴史にまつわるおそらく最も包括的なカタログが完成した。

 これらはウォッチメイキングにおけるウルバン・ヤーゲンセンの名前の重みと、それが時計の世界に与え続けている影響について、私たちを啓蒙してくれる素晴らしい取り組みだ。

ドイツの有名なカメラメーカーから発売された貴重な腕時計の、超限定バージョンだ。

ライカが新しいZM 11モデルを発表してからわずか数カ月後、ブランドはオリジナルのZM 1をベースにした最初のリミテッドモデルを正式ローンチした。新しいモデルはZM 1 ゴールド リミテッドエディションで、オリジナルのZM 1(以前のL 1)を踏襲しており、18Kレッドゴールド製ケースと、ブラウンのグラデーションダイヤルが特徴だ。

50本限定のZM 1 ゴールド リミテッドエディションは、オリジナルのZM 1の機能はそのままに、ケースとダイヤルを変更し、より温かみのある貴重なカラーリングに仕上げた、ブランドの最も熱心なファンのための特別なモデルだ。スタンダードモデルがブラック文字盤、赤のアクセント、スティールケースを備えているのに対し、ZM 1 ゴールドは特別な素材、特にゴールドとチタン(ムーブメントに使用)を使って表現する既存のライカ製品を再現している。

リューズとプッシャーはチタン製で、ZM 1 ゴールド リミテッドエディションはブラウンのアリゲーターに18KRGのデプロワイヤントクラスプが付いており、価格は2万8000ドル(日本円で約411万8000円)となっている。

我々の考え
ZM 1 ゴールド リミテッドエディションは、ゴールドとブラックのカラーバリエーションを施した1929年発表のカメラ、“IA Luxus”へのオマージュとして製作された。しかし時計製品という観点から見ると、ZM 1とZM 2が発売されたときには感動したものの、時計がカメラのM 11と同等かそれ以上の価格で販売されることに、僕は純粋に疑問を感じていた。さて、数カ月前にライカ本社でZM 1 ゴールドエディションを見たとき、僕はいくつかの数字(とカラスのプレート)も手に入れた。

結局のところ、ライカはZM 1とZM 2を合わせて年間約500本しか生産しておらず、そのうちの30%はライカ以外の顧客に販売される。ということは、ライカのカメラを持っていない人たちが購入しているということだ。これは特筆すべきことであり、このリミテッドエディションがZM 1と2の年間生産本数の約10%を占めていることを意味する。すでに同意している人から賛同を得ようとしているようなものだ。

時計のなかでも、ZM 1は非常に印象的なモデルだ。よくできていて、ライカのデザイン言語を踏襲し、カメラ関連のギミックを搭載しているが、それをまったく感じさせない。ケースと文字盤はデザインの顕著な表現であり、特に本当に特別なものを求めるライカコレクターのためのものである。とはいえ、ブラウン文字盤が僕の好みに合っているとは言えない。個人的にはやはりベゼルベースのGMT機能があるブラックとSSのZM 2を今でも気に入っているのだ。

主な争点は価格だろうが、SS製のZM 1がおよそ1万2000ドル(日本円で約176万6000円)という値段を考えると、このゴールドとチタン製リミテッドエディションのライカからの提示価格には驚かない。50本しかないし、通りすがりの人に提供するような商品でないことは間違いない。この種のライカ製品は、あらかじめ購入資格がある可能性が高く、その魅力はフォーマットと極めて限定された生産数にある。私がヴェッツラー(またしても賛同を得よう)にいたとき、私は少なくともふたりの深いライカコレクターと話をしたが、彼らはゴールド製ZM 1のリストに名前が載ったことをとてもよろこんでいた。

ZM 1、ZM 2が発売されてから(2022年春以降に発売)、極めて短期間で成功を収めたことを考えると(最近のZM 11によるライカウォッチファミリーの拡大は言うまでもない)、ZM 1 ゴールド リミテッドエディションはライカからの真っ当な試みであり、本質的にはブランドの最もアクティブなコレクターのための特別なモデルとして機能するように感じられるのだ。

基本情報
ブランド: ライカ(Leica)
モデル名: ZM 1 ゴールド リミテッドエディション(ZM 1 Gold Limited Edition)

直径: 41mm
厚さ: 14.5mm
ラグからラグまで: 48mm
ケース素材: 18Kレッドゴールド
文字盤: アルミニウム、グラデーションブラウン仕上げ、ゴールドアクセント
インデックス: ゴールドプレートとダイヤモンドカット
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: アリゲーターレザーストラップ、18KRG製ディプロワイヤントクラスプ

leica ZM 1 gold
ムーブメント情報
キャリバー: LH-1001
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付表示、パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
追加情報: リューズプッシャーで時刻設定モードを起動

価格 & 発売時期
価格: 2万8000ドル(日本円で約411万8000円)
発売時期: 本日より世界各地のライカストアで販売
限定: あり、世界限定50本

ジョージ・ネルソンのアイコニックなボール クロック

酔っぱらった3人の天才、そして1949年のデザインアイコン。

ベイスター(マサチューセッツ人)、ニューヨーカー、カリフォルニアの3人がバーに入ってきて話をした。実はそこは、ミッドセンチュリーモダンデザインの父のひとり、工業デザイナーであるジョージ・ネルソン(George Nelson)のニューヨークオフィスだった。戦後のオフィスではよくあることだったが、1947年の夜に提供された飲み物は、どこのバーにもある美味しいものだった。やがてネルソンと、建築家で未来学者、そして彼の親友であるバックミンスター・フラー(Buckminster Fuller)、工業デザイナーのアーヴィング・ハーパー(Irving Harper)、芸術家のイサム・ノグチが順番に製図台に立ち、壁掛け時計の候補を書き出していった。

 これらのスケッチは、ハワードミラー社からの依頼に応えるためのものだった。同社はもともと、家具会社であるハーマンミラーの分社で、独立したネルソンは家具デザイナーからデザインディレクターに昇格したばかりだった。鉛筆が半透明の製図用紙のロールを引っ掻き、笑い声や冗談、コルク栓のはじける音が響く。彼らはデザイン史に名を残そうとしていただけでなく、パーティー好きで外交的でもあった。真偽の怪しい話によると、“バッキー”フラー(Buckminster Fuller)は過度のパーティー好きが原因で、ハーバード大学を追放されたと言われている。話が逸れた。

アメリカ人デザイナー、ジョージ・ネルソン。

 単純な球体の形や、思いつくままに言葉を弄ぶ遊びは、はるか昔の時計製造にまでさかのぼる。1500年代初頭の、最初の携帯時計は球形の傾向にあった。もともとはアメリカの時計メーカーで、現在はスイスの時計メーカーであるボール ウォッチは、時計の精度を示すために“to be on the Ball”(常に周りの様子を察知できる状態)という表現を長いあいだ使ってきた。カール F. ブヘラやオメガなどのスイス宝石商は、球状に膨らんだペンダントウォッチをボールウォッチと呼んでいた。しかしデザインマニアにとって、すべてを支配するボールはひとつしかない。1949年に発売されたボール クロックである。

 ボール クロックはまさに時代の申し子だ。1950年代によく使われたモチーフであるスターバースト(星型)とアスタリスクシンボルを使ったデザインが特徴である。また、物理学者のニールス・ボーア(Niels Bohr)とアーネスト・ラザフォード(Ernest Rutherford)が30年前に初めて発表した原子がモデルの可能性もある(放射線状)。その9年後、アトミウムビルは第58回のブリュッセル万博で、丸いボールと金属棒を披露した。ネルソンは1981年のインタビューで、この時計の多くの功績をノグチに捧げているが、私はこの時計を、フラーの将来のキャリアに不可欠なジオデシック・ドーム(正多面体)のような、ある種フラット化されたテンセグリティ構造と見ることもできる。

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 スタンリー・アバクロンビー(Stanley Abercrombie)の伝記、『George Nelson: The Design of Modern Design』のなかで、ネルソンは1947年の夜、彼のオフィスで過ごしたことを回想している。

「ボール クロックが開発された夜は、本当におもしろい一夜であった。(イサム)ノグチが来て、バッキー・フラーも来た。その頃バッキーとはよく会っていたが、そこにアーヴィングがいて、私がいて、ノグチは何事にも手を離せない人で(かゆいところに手が届くような素晴らしいものだ)、我々が時計に取り組んでいるのを見て落書きを始めたのだ。それからバッキーはイサムを脇に追いやった。彼は“時計をつくるにはこれがいい”と言って、まったくばかげたものを作った。みんなこれに挑戦し、お互いを押しのけて落書きをしたのだ」

「ある時点で我々は家を出た。少々飲みすぎたせいか急に疲れてきたのだ。そして翌朝、私がオフィスに戻ってくると、ここにこの(製図用紙の)ロールがあって、アーヴィングと私はそれを見た。そしてこのロールのどこかにボール クロックがあったのだ。誰がそれを描いたのか、今でもわからない。私ではないことはわかる。それはアーヴィングだったかもしれないが、彼はそうは思わなかった。我々はふたりとも、イサムがやったのだろうと推測した。彼はバカなことをやってとんでもないものをつくる天才だからだ。組み合わせから外れたのか、それとも付け足されたものなのか、いずれにせよ我々はわからなかった。そこで我々はこのボール クロックを製作した。これはハワードミラー社にとってある意味、オールタイムベストセラーとなった。そして突如としてミセス・アメリカが“キッチンに置くならこの時計”と決めた。なぜキッチンなのかはわからない。しかし、その後何年もキッチンを紹介する広告には必ずボール クロックが登場していた」

 この作品は、ネルソンが時計の使い方を徹底的に分析した内容にぴったりと合致しており、それにはふたつの要点があった。ひとつは、人々が針の位置で時間を読み取るために数字を使わなくなったこと。もうひとつはほとんどの人が腕時計をしていたことで、壁掛け時計は正確さを追求したものではなく装飾的な要素に変化したことである。そのためヨーロッパのキッチンが、高精度のエッグタイマーを内蔵したミニマルなユンハンス マックス・ビル クロックで飾られるのと同じ頃、アメリカではシンボリックなスタイルが流行していたのだ。私はネルソンが最後に主張した、キッチン広告の主張を証明することはできなかったが、ボール クロックのデザイナーとして認められている人物が自身の作品ではないというひとつのことについてのみ確信しているのは驚くべきことである。

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 個人的には、直径13インチ(約33cm)の時計の数あるバージョンのなかでも、ブルー、グレーブルー、グリーン、オレンジのボールが入ったバージョンと、桜材にラッカーを塗ったナチュラルなバージョンのふたつがお気に入りだ。ボールの直径は1.38インチ(約3.5cm)で、金属の棒を取り付ける切り込みがある。これらはクォーツムーブメントを収納する、4.21インチ(約11cm)の中央ボディから3.03インチ(約7.7cm)伸びている。ちなみに、このムーブメントは単3電池1本で駆動する。ああ、酔っぱらいのドラフトから開発された製品とは皮肉なものだ。

今日、オメガはウォッチメイキングにおけるキューピッドの役割を正式に開始して、

私たちの目の前に5本の新しいデ・ヴィル ミニ トレゾアの新作をお披露目した。あなたはもう愛を感じているだろうか?

De Ville Trésor Mini
“ミニ”という名前が示すように、最新のデ・ヴィル ミニ トレゾアはそれぞれ26mm径の小ぶりなサイズが特徴で、ステンレススティール製モデルを3種類、独自の18Kムーンシャイン™ゴールド製モデルを2種類で展開する。トレゾアファミリーに忠実でありながら、それぞれの時計はスリムで洗練されたローマ数字のアプライド(ゴールドダイヤルのみ)インデックスとアルファ針を備えている。ノンデイトかつ時刻表示のみのシンプルなデザインで、文字盤を保護する風防はややドーム状になっており、全体的にクラシックな魅力を表現している。

De Ville Trésor Mini
 3つのSSモデルの場合、すべて共通で、セットされるダイヤルはオフホワイトのグラン・フー エナメルにグレーのローマ数字だ。それぞれ個性が現れるストラップは、キルト柄のブラックレザー、グレーのアリゲーター、ダブルストラップタイプのブラウンレザーから選ぶことができる。

 ムーンシャイン™ゴールドモデルは、ブランドがより遊び心のある路線を取っている。オフホワイトのグラン・フー エナメル文字盤を背景に、鮮やかな赤いローマ数字を組み合わせた大胆なデザインを採用したモデルがひとつ。もうひとつのモデルは、シルクのような質感を持つシャンパンカラーのゴールドダイヤルで、同じくゴールドのアラビア数字は単色でありながら高級感のあるカラーパレットを生み出している。

De Ville Trésor mini
 時計を裏返すと、裏蓋にはおなじみの“Her Time”模様がプリントされている。これは19世紀後半まで遡る、ブランドの女性用時計製造の歴史へのオマージュとして咲き誇る花の曼荼羅である。花のモチーフに合わせて、リューズ自体にも真っ赤な花をプリントし、中央には1粒のダイヤモンドをセットしている。さらに各モデルにはブランド独自のファインジュエリーコレクションのユニークなブレスレットが付属する。私たちがジュエリーウォッチの領域にしっかりと足を踏み入れていることを考えると、これらの時計のそれぞれにブランドのクォーツムーブメント、正確にはオメガCal.4061が搭載されていることは驚くことではない(はあ) 。

Omega De Ville Trésor Mini
我々の考え
通常、ジュエリーウォッチのリリースについて書く機会はめったにない。ただ正直なところ、私がとても楽しんでいる!

De Ville Trésor Mini
 私はたくさんの輝きがある時計が好きなわけではないが、色はもちろん、文字盤全体にダイヤモンドがあしらわれているのは意外にそうでもない。と言っても、このモデルのケースにあしらわれたダイヤモンドの配置の仕方が好きなので、少し驚いている。鏡に映したかのようなアシンメトリーもいいし、ふたつの帯状のダイヤモンドがケースの緩やかなカーブに沿っているのもいい。また中央に向かって、個々のダイヤモンドが小ぶりになっていくのも好きだ。そして最も重要なのは、文字盤にまぶしいほどの輝きはなく、全体的なデザインがもう少し地に足がついたものに感じられることだ。

 ムーンシャイン™ゴールドケースを備えたチェリーレッドモデルが、すぐに私の目に留まったのは当然だ。しかし見れば見るほど、最初に気に入っていたもうひとつのゴールドトーンモデルにも愛着がわいてきたのも事実だ。

De Ville Trésor Mini
De Ville Trésor Mini
 既存のデ・ヴィル ミニ トレゾアシリーズに完全な革命を起こしたものではないが、これらのモデルはそれぞれより多くのバリエーションを追加し、最終的に着用する女性(またはすべての人!)の好みにさらに応えることができる。ドレッシーでフォーマルで、きらびやかで、時代を超越した魅力があるにもかかわらず、ひと癖もふた癖もある楽しいジュエリーウォッチなのだ。私たちがここで車輪の再発明をするつもりはない。ただ何よりも大切なことは、もし誰か気前のいい人がいたら、今年のバレンタインデーにこれらのひとつを自分用に開けることができたらとてもうれしいということだ…。

基本情報
ブランド: オメガ(Omega)
モデル名: デ・ヴィル ミニ トレゾア(De Ville Mini Trésor)
型番: 428.18.26.60.04.001(SS&グレーアリゲーター)、428.17.26.60.04.007(SS&ブラックレザー)、428.17.26.60.04.005(SS&ブラウンレザー)、428.58.26.60.04.003(ムーンシャイン™ゴールド&レッドアリゲーター)、428.57.26.60.99.001(ムーンシャイン™ゴールド&ファブリック)

直径: 26mm
厚さ: 7.5 mm
ケース素材: ステンレススティールまたはムーンシャイン™ゴールド
文字盤: オフホワイトのグラン・フーエナメルまたはムーンシャイン™ゴールド
インデックス: ローマ数字
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: グレーアリゲーターストラップ、ブラックレザーダブルストラップ、ブラウンレザーダブルストラップ、レッドアリゲーターダブルストラップ、ファブリックストラップ(すべてピンバックル)

De Ville Trésor Mini
ムーブメント情報
De Ville Mini Trésor
De Ville Mini Trésor
キャリバー: 4061
機能: 時・分
パワーリザーブ: 約48カ月
巻き上げ方式: クォーツ

価格 & 発売時期
価格: SS&グレーアリゲーターは72万6000円、SS&ブラックレザーとSS&ブラウンレザーは73万7000円、ムーンシャイン™ゴールド&レッドアリゲーターは137万5000円、ムーンシャイン™ゴールド&ファブリックは146万3000円(すべて税込)
発売時期: 近日発売

セイコーとのコラボレーションウォッチを数多く手掛け、また日常的にも同社の時計をいくつも着用しています。

史上最高額の10年総額7億ドル(約1015億円)でドジャース入りした大谷選手は、先月末、27日(日本時間28日)にニューヨークで開催された全米野球記者協会(BBWAA)ニューヨーク支部主催の「アワードディナー」に登場。ディナーのドレスコードはブラックタイということで、大谷選手は「BOSS」のアーカイブからネイビーのタキシードジャケットを着こなしていました。

大谷選手は普段通訳の水原一平氏を通して発言することが多いですが、この日のMVP授賞式では日本語なしで、2分6秒の全英語スピーチを披露し、出席した関係者やファンたち約600人から拍手喝采を浴びました。僕は大谷翔平選手のスピーチを見ながら常に彼の手首に注目していました(完全に職業病ですね)。そこにあったのはブラックダイヤルにブラックのレザーストラップの腕時計。キラリと光る感じからインデックスはゴールド色に見えました。

僕は気になってすぐにGetty Imagesにアクセスし、時計がよく写っている写真を探しました。するとすぐにニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウンでポートレート撮影に応じる大谷選手の写真を見つけました。

もっとクローズアップして見てみよう。

この写真を見てすぐにどのモデルかがわかりました。昨年グランドセイコーから日本製腕時計の110周年を記念して発表されたSBGW295です。本作は、1960年に発売された初代グランドセイコー通称“ファースト”のオリジナルデザインを35mmから38mmにサイズアップして現代的に復活させたSBGW259を始めとするモデルの限定バリエーションで500本が作られました。

筆者が撮影したグランドセイコー SBGW295。

ケースにはグランドセイコーが得意とするザラツ研磨が施されたブリリアントハードチタンが採用され、ダイヤルは漆黒の漆と蒔絵によるGrand Seikoのロゴと12ヵ所のインデックスが特徴です。高蒔絵は金沢の漆芸家・田村一舟(たむらいっしゅう)氏が純金を用いてひとつひとつ手作業で描いています。

またストラップは、かつて武士の鎧兜を編み上げたのと同じ手法で裁断された、牛革と糸を平織りして耐久性を高めた生地、鎧織(よろいおり)が採用されており、日本の技術や伝統が細部にまでこだわり抜かれた1本です。

タキシードにドレスウォッチをあわせるのは王道ですが、僕はこれまでグランドセイコーをあわせるセレブリティはあまり見かけたことがありませんでした。大谷選手のシックなタキシードにこの漆黒のグランドセイコーファーストは本当にクールな着こなしですね。

大谷選手といえば、令和6年能登半島地震による被災地支援のため、ドジャースと共同で約1億4500万円の寄付を行いました。これは僕が深読みしすぎているだけかもしれませんが、金沢の職人が手掛けたモデルをつけているのはエールを送る意味もあるのかも…しれませんね。

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