ロレックス“エクスプローラー I ”とその“チューダー兄弟”

ロレックス“エクスプローラー I ”とその“チューダー兄弟”

ロレックス エクスプローラー I (Explorer I)
エクスプローラーIは、ロレックスの「永遠の定番モデル」です。2023年までに全面的なモデルチェンジが完了し、現在販売されているモデルは、36mmの124270、40mmの224270を問わず、すべて新世代のキャリバー32シリーズ(具体的には3230型)自動巻きムーブメントに換装されています。

過去20年間で、エクスプローラーは114270、214270、124270、224270と幾度となく変遷してきました。一見すると外観に大きな違いがないように見えますが、実際にはサイズや針の長さ、インデックスの材質が繊細に変化しており、2023年現在ようやく完成された形となりました。
特に注目すべきは、224270の40mm径への変更です。従来の39mmからわずかに大型化され、これがエクスプローラーとして初めての40mmサイズとなります。また、インデックスも長年使用されていた「非発光金属数字」から、3・6・9時の発光インデックスへと回帰。さらに比例のとれた「ロングハンド」を採用し、時針・分針ともにインデックスや目盛りに正確に届くようになりました(これは初期の214270で見られた針がやや短いという不評を解消したものです)。
文字盤6時位置に配置された「小さな王冠」のロゴは、新世代キャリバー32シリーズ(無日付版3230)を搭載していることを示しています。日付表示がないことで、ロレックスのスポーツモデルの中では最も薄いモデルです(厚さは約11.6mm)。この3230型ムーブメントは、70時間のパワーリザーブと、優れた耐磁性・精度を発揮する青色ニオブ遊丝を備え、毎日+2/-2秒という高い時計精度を誇ります。
現在のロレックスは、過去20年間でかつてないほどの選択肢を提供しています。36mmと40mmが同時に販売されているほか、36mmモデルには「124273」というゴールドコンビモデルもラインナップされています。エクスプローラーは、ロレックスのスポーツウォッチの中でも特に着け心地の良いモデルとして、最優先の選択肢となるでしょう。
チューダー レンジャー (Ranger)
一方、予算を抑えつつもエクスプローラーと「極めて高い共通性」を持つ時計を求めるのであれば、ロレックスグループのチューダー(Tudor)が手掛ける新型レンジャーが最適です。

最近登場した36mmモデルにより、チューダーレンジャーも36mmと39mmの2サイズ体制となりました。また、すべての在庫モデルがチューダー自社製のMT54シリーズ自動巻きムーブメントを搭載し、現在はまさに「完成された状態」です。
歴史的に見ると、1953年に誕生したロレックスエクスプローラーに比べ、チューダーの正式なレンジャーは約10年遅れて登場しました(レンジャーの前身は1952年)。しかし、その「精神的核」はエクスプローラーと完全に一致しており、どちらも専門的な調査隊向けに設計された時計です。ロレックスがエベレスト登山用であったのに対し、チューダーはグリーンランドの調査用として開発されました。
2022年にリニューアルされたレンジャーは、サイズを39mmに固定(2014年モデルは41mmでした)し、アンティークな「Tudor Oyster Prince Ranger」の外観を踏襲しています。特徴的な矢印型の針や、四角形の秒針ルミノバはレンジャー独自の特徴です。
レンジャーとエクスプローラーは、象徴的な3・6・9時の数字インデックスという点で非常に似通っています。しかし、チューダーレンジャーはエクスプローラー以上に「プロフェッショナル感」と「ツールウォッチ感」が強いと言えるでしょう。レンジャーの厚さは12mmとわずかに厚く、ケース全体がすべてブラッシュ仕上げです。この外観処理からも、レンジャーがエクスプローラー以上に過酷で複雑な環境に耐える決意を持っていることがうかがえます。
今年、36mmモデルが追加されたことで、チューダーレンジャーもロレックスエクスプローラーと同じく、大小2つのサイズが販売されています。さらに、36mmおよび39mmのレンジャーには今年、「砂漠色(デューンカラー)」の文字盤が新たに追加されました。
これらのレンジャーに搭載されるMT54自動巻きムーブメントは、ロレックスグループが投資して建設した工場で生産されており、主にチューダーに供給されています。2015年に登場したMTシリーズは、過去10年の試練を経て、シリコン遊丝、70時間のパワーリザーブ、クロノメーター認証された精度という点で、非常に優れた性能を発揮しています。
チューダーレンジャーの価格は約2.8万円であり、公定価格でも、ましてや実際の市場価格を考慮しても、ロレックスエクスプローラーとは大きな開きがあります。ロレックスがますます高価になっていく現代において、「どこへでも行く」冒険心の本質は、まさに「生まれながらにして大胆な」チューダーが継承しているのです。